Wednesday, July 14, 1999

【 '99-02 】 丸松食堂にて

帯広の五右衛門さんに(オートバイの)応急処置をしてもらった後、昼食をとることにした。マシンが「とりあえず」の状態になったという安心感から、どっと空腹を感じたのだった。

カワサキのバイクショップ前の道路を渡った所に一軒の食堂を見つけた。「豚丼」という旗が風で翻って私を誘っている。その店は丸松食堂と言う。お客が十人も入れば満杯、という感じの、こじんまりした食堂だった。昭和45年から営業しているそうだから、丁度私の年齢と同じだ。店は古いけれど、なにか惹かれるものがある。

店は初老夫婦が切り盛りしていた。何処から来たの?と訊かれ、横浜だと答えると「今年はね、東京もここも暑さは変わらないのよ」とおっしゃった。「暑くて牛もまいっている」とも。

豚丼が出来た。ドンブリ飯の白色と、タレが絡んだ豚肉の黒は食欲をそそるコントラストだった。味はこってりしていて旨い。私はこのとき初めて豚丼というモノを食べた。しばし無言。

近海郵船が無くなるっていうんで、このまえ十勝までのツアーに参加したのよ、とおばちゃんが言う。そうなんですよね、道東が好きだから残念です、と私。

ゆっくり時間をかけて味わい、満腹で大変幸せな状態になれた。「豚丼がテレビで紹介されてから、駅前の店は流行ってるらしいけど」と、おばちゃんは前置きしたあと、「でもウチは味で負けてないよっ!」と自信あり気に言った。

私は駅前の豚丼を食べたことは無いけれど、きっとおばちゃんお豚丼のほうが旨い、圧倒的にそうだと勝手に思ったのだった。

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