Wednesday, July 07, 1999

【 '99-09 】 昆布森

「こんぶもり」と読みます。想像したとおり、昆布に由来する地名です。霧多布では、昆布漁を家業にしている家が多いのです。自宅の前には広~い砂利敷きの庭(?)。そこで昆布を干すのです。その為だと気づくまでは、どうして砂利の庭なんだろう?って疑問でした。

旅を終えたある日、図書館に行ったら児童書コーナーにうってつけの本がありました。本文中に「霧多布」という地名は出てきませんが、明らかに霧多布の昆布漁をモデルにした絵本でした。そこに描かれているの風景は、私が霧多布で見た正にそのものだったのです。

この本は、私が知らなかった事を教えてくれました。砂利の上に広げる昆布の向きは、風向きに合わせるという事。各々が勝手に漁をするのではなく、漁に出かける期間や時間帯等の協定が結ばれている事など。

霧多布のキャンプ場は高台にあるので、眼下に海が見えます。ある朝早起きして昆布漁を見に行くことにしました。しかし見事に濃霧に邪魔されて何も見えませんでした。霧多布は文字通り「霧の多い」ところなのです。漁を開始するサイレンの音がして、舟が行き交う気配はしたのですが。残念。

太陽が昇り始めると、段々霧が晴れてゆきます。私たちはバイクで出かけることにしました。途中、霧多布の町を走ると、昆布を干す家族の姿があちこちに見えました。白っぽい砂利が黒々と塗り替えられるのは圧巻です。それ以上に私の心を惹いたのは、家族が団結して仕事をしている事でした。とーちゃん、かーちゃんが仕事をする傍らで、まだ小学校低学年かと思われる少女が昆布一束を抱えて運ぶのです(木の幹ほどの太さです)。重そうでした。でも楽しそう。そして家族と一緒に働けることを誇らしく思っているようにも見えました。

昆布を干すのに砂利を用いるのは、乾きを早める為でしょうか。砂だと濡れた昆布が汚れてしまいますし、コンクリートだと昆布と地面が密着してしまうでしょう(空気との接触面が小さい)。

旅の最終日、偶然にも昆布をてんこ盛りにしたトラックの後ろを走りました。時々、昆布が荷台からズルッと落ちてきます(冷や汗)。昆布は黒々としていて美味しそう。山盛りの昆布を見て、本当に地名どおりだわ、と思いました。

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