Friday, July 09, 1999

【 '99-07 】 北海道の空

「空が違う。」
北の大地を訪れる度にいつもそう感じていた。何かが違うのだ。普段住んでいる町と比べれば季節感が違うし、実際日の出日の入りの時間もずれているのだから、当然なのかもしれない。空を見れば、「夏は入道雲」「秋はうろこ雲」といったような違いもある。日本国内に居ながら、こういった違和感を味わうのは楽しいものだ。

年中オートバイに跨り日本のあちこちを旅しているが、これほど空を眺めながら走るツーリングは他に無い。ヘルメットのシールド越しに見える風景。その殆どの部分は「空」だ。北海道の夏は天気が良くない。だからなおさら、晴れていればずーっと青い空を見ながら走っている。約1週間の旅を終える頃には、不思議と視力が上がっていたりする。

道東の根室から納沙布岬に向かっている時や、道北のサロベツ原野を北へ北へと走らせている時など、ほんっとーに空は広い。なにしろ地平線が見えるのだから、空を丸ごと見ている気がしてくる。同じ経験をした人ならば容易に思い浮かべるころが出来るだろうが、あえて私流に説明するとしたら・・・

--- かくれんぼをしていて段ボール箱の中に身を隠すとする。鬼にいつ見つかるかとヒヤヒヤしながら、そぉーっと頭上の蓋を開けてみる。そこには切り取られた天井が見える。夜、眠る時には眼球を動かさなければ全体を見ることが出来ない天井が、今は小さな存在に感じられる。--- 北海道の「天井」を見るには眼球をぐるりと動かさなければなりません。身を潜めている時、あなたを窮屈に感じさせる段ボール箱の壁面は、言うなれば街のビル群です。

空気が澄んでいる。空が高い。元気な日差しが広大な地上に鮮明な色彩を与える。草を食む牛の、モノクロカラーも美しい。北海道という所は食べ物が美味しいし、札幌や小樽のような観光名所もある。残念なことに、ツアーで廻ってしまうと食事と土産物選びだけで終わってしまうことが多いようだ。道東は特に交通機関が不便なエリアだから、出来ればレンタカーでも借りて、窓を全開にして(←これ大事)旅して欲しいと思う。車を停めて空を見上げ、眼球をぐるりと動かすこともお忘れなく!

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